ペットの防虫について

夏になるとアウトドアなどペットとお出かけする楽しい機会も増えることでしょう。
また、暑いこの時期はノミや蚊など、虫の活動も活発になります。
愛犬や愛猫と一緒の部屋で生活するなど、ペットと人との距離が近くなったので、ペットを虫から守ることは人への被害を防ぐことにもつながります。
今回はペットや人に影響を及ぼす代表的な虫である蚊、ノミ、マダニについてお伝えします。
蚊が媒介する代表的な病気
蚊が媒介する代表的な病気にフィラリア症(犬糸状虫症)があります。
フィラリア(犬糸状虫)とは、オス17cm、メス28cm程度の長さがあるそうめん状の寄生虫です。
原因となる犬糸状虫は犬だけでなく猫にも寄生します。
■犬のフィラリア症
予防薬がよく知られるようになり、フィラリア症は以前に比べだいぶ減少しました。
しかし、地域によっては今日もなお多く見られます。
一度かかると治療が難しい病気であり、症状が重篤化すると命にかかわります。
■感染経路
蚊が、フィラリア感染犬の血を吸った際にフィラリア子虫も一緒に吸われ、蚊の体内に入ります。蚊の中で子虫が成長し、その子虫をもった蚊に犬が刺されると感染します。
フィラリアの子虫が犬の体内で成長して、最終的に心臓付近で成虫になります。
さらにフィラリアの成虫は血中にたくさんの子虫を生み出します。
■症状
フィラリアの成虫が心臓にたくさんいると、血液の循環が悪くなり、咳や呼吸困難、腹水、貧血などの症状が出ます。重篤化すると死に至ります。
■猫のフィラリア症
フィラリア症の原因となる犬糸状虫は猫の心臓や肺にも寄生します。
猫では犬に比べてフィラリアの寄生数が少なく症状も乏しいため、診断が難しく発見が困難なことが多いです。
■症状
咳、呼吸困難、元気消失 などが起こり、これらの症状が出てきたときには危険な状態です。
健康そうに見える猫でも呼吸器や循環器へのダメージが大きく、突然ショック状態に陥り死亡することもあります。
■犬、猫のフィラリア症の予防
動物病院の薬を正しく用いることでフィラリアから身を守ることができます。
錠剤、おやつタイプ、注射、スポット剤など様々なタイプの予防薬があります。
愛犬、愛猫に合う薬を動物病院で相談しましょう。
マダニについて

■マダニはどこにいるの?
まマダニはどんな気候や場所にも対応する寄生虫で日本全国どこにでも生息しています。
マダニが特に好む場所として知られているのが、山林や川原の土手などの草むらです。
都市部の公園などでもマダニが寄生する危険性があります。
さらに、犬だけではなく猫にもマダニは寄生します。草むらなどには近寄らせないようにしましょう。
■マダニがもたらす被害
マダニは多くの病原体を媒介します。
そのため、吸血による貧血や皮膚炎だけでなく、命さえおびやかす病気にかかる危険性があります。
ペットだけでなく人への感染症も報告されています。
■マダニから犬、猫におこる病気
貧血・皮膚炎
マダニが大量に寄生し、大量に吸血されて起こります。マダニに吸血された部分が皮膚炎になることがあります。
犬バベシア症
バベシア原虫という非常に小さな寄生虫が、ダニを介して犬の赤血球に寄生し、赤血球を破壊する病気です。
感染した犬には貧血、発熱、食欲不振などの症状が現れ、急性の場合は黄疸や衰弱などによって死に至ることもある恐ろしい病気です。
以前、犬バベシア症は西日本特有のものとされてきましたが、今では関東以北でも発生が認められるようになり、全国的に感染のリスクがあることがわかってきました。
■マダニの見つけ方
散歩から帰ったら、マダニをチェックしましょう!
特に頭や耳、目の縁やお腹、足の指の間や背中などをチェックしましょう。
もし、しっかりと食いついているマダニを見つけたら、決して無理にとろうとしてはいけません。
化膿したり、病原体をペットにうつしたりするので、見つけたらすぐに動物病院へ行きましょう。
■マダニを予防するべき時期
マダニのシーズンは、成虫が多い春だけと思われがちですが、秋に若ダニや幼ダニが多く発生することは意外と知られていません。
年間を通じた定期的なマダニ対策が重要です。
ノミについて
■ノミってどんな虫?
ノミは、世界中に多くの種類が生息し、犬や猫だけでなくヒトにも寄生する、動物にとって最も一般的な外部寄生虫です。
日本では、主にネコノミが犬や猫の体表に寄生します(犬や猫に寄生するノミには、イヌノミもいます)。
ネコノミは体長1〜3mm、褐色で体が縦に平たく、6本脚を持っています。
ノミ成虫の好物は、動物の血液です。
オス・メスに関係なく血を吸います。
一方、ノミの幼虫は、ノミの成虫の糞(血液の消化物)や人やペットの食べこぼし、フケなどを食べます。成虫と違い、血を吸うことはありません。
ノミの成虫のジャンプ力は驚くべきもので、光の刺激や犬・猫が出す二酸化炭素・体熱に反応し、強力な筋力を持つ後ろ脚で体長の約60倍の距離、 約100倍もの高さを飛んで動物に寄生、吸血します。
■ノミはどこにいるの?冬はいない?
ノミは部屋の中では、部屋の四すみ、家具の下やすき間などの暗く湿ったところ、床やじゅうたん、ソファーやベッドの上など、愛犬・愛猫が多くの時間を過ごす場所などに多く見られます。電車やバスでいきなり遠出ではなく、短い距離で練習しておくと安心です。
目に見えているノミはたった5%で、あとの95%は卵、幼虫、さなぎの状態で寝床やカーペット、部屋の隅などに隠れています。
ノミは室外でも生息でき、庭先の直射日光の当たらない湿度の高い草むらなどに多く見られます。
ノミが繁殖するには気温が13℃以上あれば十分で、梅雨から夏にかけては最短で12-14日で卵が成虫になります。
暖房などにより暖かな環境が整った室内では通年の生息が可能で、冬の間も寄生〜産卵をくり返すことがあります。
未成熟期のノミを根絶するために定期的に医薬品によるノミ予防を行い、ノミのライフサイクルを断ち切ることが必要です。
■ノミがもたらす被害
貧血
子犬や子猫では、ノミの大量寄生により貧血がおこります。
ノミ刺咬症やノミアレルギー性皮膚炎
人、犬、猫がノミに刺され皮膚炎になります。激しいかゆみや湿疹を伴います。
瓜実条虫症(サナダムシ)
ノミが媒介し、犬や猫に瓜実条虫症(サナダムシ)がうつることがあります。
人への感染は、犬や猫の体についたノミをつぶしてしまうなど、偶発的にノミの体内に潜む瓜実条虫の幼虫を摂取することで起こります。
このように、ノミは犬や猫のみならず、人へも被害をもたらすことがあるので注意が必要です。
■ノミの見つけ方
ポイント!!
ノミの糞を探しましょう。
ノミは体長2ミリ程度と、かなり小さく、通常は犬や猫の被毛の中に隠れ、動きもすばやいため、特に数が少ない場合には見つけ出すのに根気が要ります。
ノミの糞を探すことで、ノミがついているかどうか簡単にチェックできます。
はじめに、目の細かいクシなどで被毛を丹念にすきます。
次に、黒っぽい小さい粒があれば、湿らせたティッシュの上に置きます。
粒が溶けて赤茶色になったら、それは血を吸ったノミの糞であり、ノミが寄生している証拠です!
まとめ

虫が媒介する病気は時に犬、猫、人の命を脅かすことがあります。
各寄生虫の駆除薬や予防薬はかかりつけの動物病院に相談し、正しく使用するようにしましょう。
大切な愛犬、愛猫と楽しく元気に夏をお過ごしください。